ビットコインにはいろんなウォレットの形があります。
https://bitcoin.orgというビッットコイン公式サイトで、デスクトップ、ハードウェア、モバイル、ウェブの4つに分類して、具体的なウォレット(製品やアプリ)を紹介しています。
「ウォレット」と言う言葉は非常に曖昧な使われ方をしていて、ハッキリした定義は無いようですが、だいたい大まかには以下のようなタイプに分類されます。
- ソフトウェアウォレット
- webウォレット
- ハードウェアウォレット
- ペーパーウォレット(物理ウォレット)
- ブレインウォレット
それぞれ、メリット、デメリット、また使い方も違ったりするので、その辺を一つずつ紹介していきます。
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もくじ
ソフトウェアウォレット
最もオーソドックスと言えるのがソフトウェアウォレットです。
自分の端末にいわゆるウォレットアプリのようなソフトウェアをインストールして使います。
言わば端末の中にビットコインを保有している状態です。
PC用ソフトウェア(フルノード)
ビットコインの公式クライアントと言えるBitcoin Coreが、そういったソフトウェアの代表です。
Bitcoin Coreは基本的にPC用です。Bitcoin Coreをインストールするということは、ビットコインのブロックチェーンを維持管理するP2Pネットワークの一員(フルノードサーバー)となることを意味します。
前提として過去のブロックチェーンデータ(100GB以上)の全てを自分の環境下に保持する必要があり、しかもブロックチェーンを保守するプログラムが随時走ることになるので、それなりのマシンでないと使えないと思います(モバイルではまず無理です)。
ブロックチェーンを全て自分で保持しているので、常に生のブロックチェーン情報を見ることができます。
言うまでもなく、フルノードサーバーが持つ情報が最も信頼できる情報です。
モバイル用ソフトウェア(SPVクライアント)
フルノードサーバーとしてマシンを稼働させるのは、普通の人にとっては現実的ではないかも知れません。
一般的に使えるのがSPVクライアントという方式のソフトウェアです。
SPVクライアントというのは、ブロックチェーンを自分で保持するわけではなく、どこかのフルノードサーバーにブロックチェーン情報を読みに行くことで、その情報(残高や支払い履歴など)を得ます。
自分で保持しているわけではないとは言え、直接読み込むと言う意味では信頼性の高い情報と言えます。
読み込むのは自分のウォレットに関連する情報(トランザクション)だけなので、動作も比較的軽快です。
SPVクライアント方式ならモバイルでも充分動かせるので、ウォレットアプリとしてAndroid、iPhoneともに様々なものがリリースされています。
個人的にはbreadwalletが使いやすいんじゃないかと思います(セキュリティもしっかりしてそうです)。
こういったウォレットアプリは、ビットコインの送受信に関してはQRコードを使って簡単にできる仕組みが備わっていますし、事実上、ウォレットをスマホに入れた状態で持ち歩けるので実用的です。
ただしスマホが故障したり紛失したりしたらウォレットを失うことになります。そういった場合でも、パスフレーズ(リカバリーフレーズ)があればウォレットを取り戻すことができるので、大事に保存しておきましょう。
※スマホを買い替える際なども、パスフレーズを使って新しい機種にウォレットを再現することができます。
PC用でもモバイル用でも、ソフトウェアウォレットの場合、その端末のストレージ内に秘密鍵を保存している状態になります。端末がネットに繋がっていれば、ハッキング等により秘密鍵が流出する危険性はあります。
もちろん、信用できないアプリは絶対使わない方がいいです。無いと信じたいですが悪質なアプリの場合、裏で秘密鍵をどこかに送信しているということもありえます。中国産は気をつけましょう。(笑)
ソフトウェアウォレットのメリット
- 第三者に依存することなく自分でウォレットを管理できる
- ブロックチェーンを直接読み取っているので、(残高などの)正しさが保証されている
ソフトウェアウォレットのデメリット
- ハッキングによる盗難のリスクあり
- 端末の故障・紛失による秘密鍵紛失のリスクあり
webウォレット
第三者であるwebサービスを利用することで使うことができるものをwebウォレットと言います。
ブロックチェーンと自分との間に第三者であるwebページ(サーバー)が常に介在することになるので、そのwebサービスを信用した上で使用することが前提です。
平たく言えば、webアプリ版のウォレットです。
webウォレットの良い所は、ソフトウェアウォレットを端末にインストールせずとも、インターネットを通じてブラウザ上で使えるところです。
そのwebサービス上でログインアカウントを作ることで、そのアカウントとウォレットを紐付けて管理してもらいます。
webサービス側がP2Pネットワークに繋がることで、実際にウォレットを作って、特定のアカウントにだけそのウォレットの操作権限を与えると言った仕組みです。
そのwebサービス(サイト)にログインするだけで、そのウォレットを操作することができるので、場所も端末も選ばず非常に使い勝手はいいと言えます。
スマホでそのwebページを開けば、出先で決済に使うこともできるでしょう。
※専用アプリがあるものもあります(専用アプリとソフトウェアウォレットは違います)。
しかも、仮に端末が故障したりしても、ウォレットには何のダメージもありません。
ただし、ログインアカウント情報(password等)を忘れてしまったり、誰かに知られてしまったらアウトです。全てはログインアカウントに依存しているということを忘れてはいけません。ログインアカウントの管理は自己責任です。二段階認証などは必須です。
あとwebウォレットの怖いところなのですが、そのウォレットを実際に握っているのはwebサービス管理会社です。
もちろんそのウォレットは利用者のモノであるという約束の上で預かっている体ではありますが、秘密鍵は向こうにあるので、やろうと思えば預かっているビットコインを運営会社側が勝手に動かすことも、原理上は可能です。利用者を欺くようなwebサービスではないことを信じるしかありません。
また、管理会社自体に悪意はなくとも、ハッキング等により秘密鍵等の重要な情報が流出するということはありえます。重要情報の保管体制やハッキング対策などのセキュリティがしっかりしているか見極めるようにしましょう。
そういったリスクと引き換えに、利便性を提供してくれているのがwebウォレットです。
もし運営側を充分に信用するなら、秘密鍵の管理を任せていられると言う意味では非常に楽です。自分で持っているよりも、ある意味安心かも知れません。
このように、webウォレットは第三者への信頼の上に成り立つものです。
個人的にはBLOCKCHAINというのがオススメです。BLOCKCHAINは秘密鍵を暗号化して保存しているそうなので、流出の危険はほぼ無いと言えると思います。ウォレットを共有できる専用アプリもあります。(Android・iPhone)
暗号通貨取引所
ビットコインも含め、様々な暗号通貨の売買を行える取引所と呼ばれるwebサービスがあります。
取引所に日本円を入金し、それをビットコインに変える(買う)ことでビットコインを手に入れることが出来ます。
webサービスに依存した状態でビットコインを保有するという点では、取引所も広い意味でwebウォレットと言うことができるかと思います。
普通のwebウォレットと同様に、秘密鍵の管理も含め全ては取引所の運営側で管理されています。預かってもらっている状態です。
取引所外のアドレスへ送金することは可能です(例えば自分で持っているウォレットに送金する等)。
取引所ではビットコインを他の暗号通貨と秒速で売買できたりと、取引所ならではの様々な機能が提供されています。それらの機能を効率よく実装するには、ブロックチェーン上のデータ(正しいデータ)とは離れたところで、通貨同士のやり取りを行い、後から帳尻を合わせるような仕組みになっているんだと思います。
単純にウォレットの作成・管理を代行するwebサービスよりも、システム的な信頼度は落ちると言わざるを得ないでしょう。
経営体力の問題も無視できません。取引所が破産することも充分考えられます。もし取引所がサービスを停止するなんてことになったら、預けていたビットコインは簡単には返ってこないかも知れません。
取引所に長期間ビットコインを預けておくのはあまりおすすめできません。
※詳細はよく分かっていませんが、2013年に、Mt.Gox(取引所)が預かっていたビットコインが大量に盗まれるという事件が起きています。
※原則としてウォレットは個人と結びつかないようになっていますが、最近では法的な規制の影響もあり、取引所を通じてウォレットを作る際にはそのウォレットの持ち主として個人情報を登録する必要があります。
webウォレットのメリット
- ネットに繋がった端末さえあればwebサービスにログインすることでウォレットを操作できる
- 秘密鍵を厳重に管理してもらえる
webウォレットのデメリット
- 運営会社の内部犯行による持ち逃げリスクあり
- ハッキングによる盗難のリスクあり
- webサービスのログインアカウント情報を盗まれるとアウト
- 突然サービスを停止されたりすると、どうなるか分からない
ハードウェアウォレット
ハッキングにより秘密鍵が盗まれるリスクを考えると秘密鍵は電子データとして保存しておくのはリスクが高いです。しかし、送金する時のことを考えるとやはり電子データの状態じゃないと何かと不便です。
そんなジレンマを解決するのがハードウェアウォレットと呼ばれるデバイス型のウォレットです。
TrezorやLedgerという商品が有名です。
ハードウェアウォレットは普通、無線での通信手段を持たず完全にオフラインのデバイスです。その中に秘密鍵を電子データの状態で保存しておけるのでハッキングの恐れはありません。
USBケーブル等でオンラインのデバイスと接続すれば、保存している秘密鍵データを一切デバイスの外に出すこと無く送金を行うことができるようになっています。
※送金は専用のアプリケーションを使って行います。
ハードウェアウォレットは、利便性と安全性の両方を追求したウォレットと言えます。
ただし、ハードウェアウォレットには通信機能がないので、単体では残高確認や着金の確認等はできません。
まあ、スマホでピッと決済できるのに比べれば圧倒的に不便だと思うので、どちらかと言えば長期保管用かと思います。
デバイスを紛失したり故障したりと言ったリスクはもちろんあります。パスフレーズを大事に保存しておくのは必須です。
ハードウェアウォレットのメリット
- ハッキングの恐れがない
- 送金も安全かつ簡単に行える
ハードウェアウォレットのデメリット
- 端末の故障・紛失により秘密鍵を失うリスクあり
ペーパーウォレット
安全性を追求するなら秘密鍵を電子データではなく紙に書いて保存してくのが一番です。少なくともハッキングされることはありません。
秘密鍵を紙に書いて保存しておくタイプのウォレットをペーパーウォレットと言います。
ただし厳密にはペーパーウォレットというのは、ウォレットというよりも、1つのアドレスに入金されたビットコインを保管するために使います。
参考ウォレットの仕組みを徹底解説
bitaddress.orgで空っぽのペーパーウォレットを簡単に作ることができます(自分でプリントアウトして保管します)。
bitaddress.org
bitaddress.orgで新規にペーパーウォレット(アドレス)を作ってそこに自分のビットコインを全て送金し、そのアドレスの秘密鍵が書かれた紙(ペーパーウォレット)をプリントアウトしておけば安心です。
もちろん、その紙は失くすことのないように厳重に管理しましょう。
いざ送金しようと思うとちょっと面倒なので、ペーパーウォレットは当面送金する予定のないビットコインを長期保存するのに使うといいです。
ちなみに残高を確認するだけなら、BLOCKCHAINでそのアドレス(秘密鍵じゃないですよ!)を検索するだけで見ることができます。とは言え、アドレスを検索窓に手打ちするのは苦行に近いですが。(笑)
※パスフレーズを保存しておけば、ウォレットを丸ごとバックアップすることができるし、パスフレーズなら手書きでメモっておくことも充分可能なので、bitaddress.orgで作れるペーパーウォレットの使いみちは限定的なものかと思います。
ペーパーウォレットのメリット
- ハッキングの恐れがない
ペーパーウォレットのデメリット
- 紙が燃えたり、紛失したりといったリスクがある
- 送金する時、面倒なことになる
- 残高確認には何らかのサービスを利用する必要がある
ブレインウォレット
ブレインウォレットとカッコつけて言ってますが、単に秘密鍵を暗記しておくというだけの話です。
このやり方もペーパーウォレットと同じく、ウォレット単位ではなくアドレス単位での保管となります。
参考ウォレットの仕組みを徹底解説
もし秘密鍵を完全に暗記できたなら、こんなに安全かつ確実な保存方法はありません。誰にも盗まれることはない上、いつでもどこでも秘密鍵を取り出すことができます。ビットコインが頭の中に入っているようなものです。
持ち物検査されて、端末を奪われてもビットコインは奪われません。(笑)
ただし送金の際には、秘密鍵を手打ちするしかありません。間違えずに一発で打てたら奇跡です。(笑)
しかも、忘れたらどうしようもありません。
そして、死んだら終わりです。そのビットコインを相続することは不可能です。
というか、どうせ覚えるならパスフレーズを覚える方が簡単だし、ウォレット単位でのバックアップになるので、秘密鍵を覚えるという猛者はまあいないかと思います。(笑)
ブレインウォレットのメリット
- まず盗まれることはない
- いつでもどこでも秘密鍵を取り出せる(思い出せれば)
ブレインウォレットのデメリット
- 送金する時は秘密鍵を手打ちするしかない
- 忘れたら終わり
- 死んだら終わり
ウォレットは用途に応じて使い分けよう
個人的には最も便利に使えるのはwebウォレットだと思います。
端末に依存せず、ログインするだけでウォレットにアクセスできるというのは魅力です。
もちろん秘密鍵の管理を運営会社に依存している以上は様々なリスクがつきまといますが、逆に言えば信頼できる運営会社にウォレットを厳重に管理してもらえる方が自分で管理するよりある意味安心じゃないかなと思います。紛失だとか端末の故障だとかっていうのは一番怖いリスクだと思います。
自分でしっかり秘密鍵を管理する自信のある人は、スマホにソフトウェアウォレットをインストールして使うか、ハードウェアウォレットを買って、誰にも依存せず自分で管理するのが良いと思います。その場合、パスフレーズの保存は必須です。
参考ウォレットの仕組みを徹底解説
また、当面使う予定の無いビットコインは、ペーパーウォレットにして金庫にでもしまっておくのが安心です。
ウォレットはいくつでも持つことができるので、長期保存用と支払い用に分けておくのがベストです。
有事の際に、身一つで逃げる際には、ブレインウォレットです!決して秘密鍵ではなく、パスフレーズを脳に刻み込みましょう。
以上、ウォレットの種類についての説明でした。ご安全に!
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